(第1回)【名もなきとうがらしが解説】「しあわせの激辛」ができるまで
やあみんな、しあわせに生きているかい?
俺の名は……、あれ、名は……まだ無い????
おおっとこれは大問題だが…、まあいったん置いといて。
今日はみんなに、俺がいかにして誕生したのかを紹介しようと思う。
話せば長くなると思うから、2回に分けて説明するぜ。
ぜひ最後まで読んでくれ!
第1回 「しあわせの激辛」ブランド誕生秘話
■時は「第4次激辛ブーム」
「しあわせの激辛」の企画が持ち上がったのが2019年12月。
激辛スナックの登場やエスニック料理の進出、ラー油を切り口にした商品の台頭などを経て、山椒のしびれるような辛さを求める「マー活」がブームとなっていた当時は「第4次激辛ブーム」と呼ばれていた。
さらに、激辛料理は定期的にメディアで取り上げられるなど話題性が高く、激辛コミュニティも点在するなど根強い人気を誇っていた。
そもそも「辛味」とは「味覚」ではなく、基本五味(甘味、塩味、酸味、苦み、旨味)には入らない、「痛覚」の一種。
辛いものを食べると痛覚が刺激され、食べると「スカッとリフレッシュできる!」という。
一説によると激辛ブームは景気に影響されるといわれ、景気が低迷すると激辛市場が盛り上がるのだそうだ。
不景気によるストレスから、激辛を食べてスカッとリフレッシュしたい!
という人が増えていくというわけだな……。
激辛ブームと、辛いものを食べることによるリフレッシュ感。
そこに着目したハウス食品は、「唐辛子も扱う総合食品メーカーとして激辛商品を作りたい!」と企画開発に乗り出したんだ。
激辛史(以下ハウス食品調べ。諸説あります)
*第1次激辛ブーム:1980年代中盤。社会は急激な円高で不況に。1986年の新語・流行語大賞に「激辛」がランクインし、話題性が高かったことが伺える。
*第2次激辛ブーム:1990年代。社会はバブルが崩壊し、就職氷河期に。タイ料理を筆頭に、辛みの強いエスニック料理が流行る。
*第3次激辛ブーム:2000年代。社会はリーマンショックによる経済低迷。激辛ラーメン店が増加するなど、これまでにない強烈な辛さが流行る。
■「辛メーター」を共創先に。
激辛ファンへのヒアリングを開始!
そんな中出会ったのが「辛メーター」だ。
辛メーターとタッグを組むことで、本格的に商品開発へと動き出す。
「辛メーター」とは、自分にピッタリの辛さに出会えるアプリ&WEBサイトである。
求める辛さにマッチする全国のお店の料理やお菓子などを探せたり、とある料理の辛さをジャッジしたり、自分の好きな激辛を投稿するSNSが設けられていたりと、まさに激辛ファンの楽園といえるサービスだ。
このコラボに、ハウス食品が多大なる可能性を見出したのは言うまでもない。
そして2020年3月に「第1回激辛ファンミーティング」を開催。
実施にあたり、辛メーターが4名の激辛ファンを招集しコーディネートにあたった。
また、辛メーターも試食・協議メンバーとして加わり、激辛市場の現状についての知見や意見、ニーズなどを激辛ファンとともにディスカッション!
ハウス食品はその声にじっくりと耳を傾けた。
■導き出された結論…それは「辛さ」と「旨さ」の両立!激辛ファンへのヒアリングを開始!
よくよく聞くと、彼らは当時の激辛商品に納得していないようだった。
「既存製品の『大辛』や『激辛』の表記は基本信用していない」、「期待ほど辛くない」、「辛いだけでおいしくない」など……。
また、「『ありもののメニューをただ辛くしただけ』(単純な唐辛子増量など)は好きではない」といった声も寄せられ、味に対してもこだわりがあることがわかった。
激辛ファンは好きで唐辛子を足していると思われていたが、実は足さずとも十分に辛く、そしておいしい料理を求めていることが判明したのだ。
重要なのは「激辛ながらもしっかりおいしい“辛さとおいしさの両立”である」という結論。
これこそが、「しあわせの激辛」がこの世に生まれたキーポイントである。
ちなみにファンミーティングでは、「クリーミーなメニュー+唐辛子の味わいが好き」という声も聞かれた。
激辛ファンたちは、グラタンにタバスコをかけたり、カルボナーラを辛くしたりして味わっているという。
- 第1回激辛ファンミーティング風景(2020年3月オンラインにて)
■コンセプト決定!「しあわせの激辛」が爆誕
また、激辛ファンたちからのヒアリングから判明したのが、「激辛料理はちょっと……」という人にとっては「激辛=罰ゲーム」かもしれないが、激辛好きにとって激辛料理とは本来、爽快感や達成感を味わえるものである、ということ。
つまり、激辛ファンにとって激辛料理とは、幸福感を味わえるものなのだ。
ただ辛いものを味わうだけではない、「質の良い激辛」。
ハウス史上最辛ながらも、メニューとしてのおいしさを伴った激辛料理を楽しむことができる。生み出されたのが、「しあわせの激辛」というブランド名と、メニューとしての美味しさと複雑で強烈な辛さが両立された「旨・激辛食」というコンセプト。
実際、「激辛ファンミーティング」に集まった激辛ファンの皆さんの、激辛の話をしたり激辛料理を食べたりしている時の表情が「しあわせ」そのものだった。ブランド名はもうこれ以外思いつかなかったのである……!
■いざ試作!そして試食!!
「しあわせの激辛」商品化にあたり、ハウス食品が意識していたのは「激辛ファンが激辛料理を食べるのは、昼どきにひとりで食べることが多い」というヒアリング内容だった。
「家族には辛いものが苦手という人もおり、晩の食卓には出にくい」というのだ。つまり激辛料理が食べられるシーンとは「個食」スタイルなのである。
そこで、個食にぴったり&外食の激辛メニューでもよく見かける『カレー』・『麻婆豆腐』・『袋ラーメン』に、「クリーミーな料理を辛くするのが好き」という激辛ファンの意見でヒントを得た『カルボナーラ』の計4アイテムを選定し試作を開始。2020年9月には「第2回激辛ファンミーティング」を開催し、激辛ファンに試食をしてもらいながらヒアリングを実施。
味覚やデザイン、価格に関する評価を集めた。
■「辛さの基準」にもこだわっているぜ!
こだわったのは味や辛さ、パッケージだけではない。
「中辛」や「甘口」といった「メーカー視点」の辛さ基準ではなく、辛メーターが独自に開発した辛さの単位「KM値(ケーエムチ)」(辛メーター値)を採用した。
これは、食べ手視点で辛さを数値化したもので、まったく辛さを感じないものを0.0KMとし、人間の限界を5.0KMとしている。
そもそも、商品開発において目指したのは「ハウス食品史上最辛」なもの。
従来品でハウス食品が定めていた辛み順位などでは到底当てはまらないのだ。
「商品の辛さは激辛ファンに決めてもらおう……」ハウス食品はそう考えた。
そして辛メーターが集めた「辛メーター評議会」メンバーに対して試食を実施。
そこで算出されたKM値をパッケージに記載した。
おわりに
「しあわせの激辛」がどのように誕生したのか、これでおわかりいただけたであろうか?
第2回では、どのようにしてあのパッケージがデザインされ、俺たちが誕生したのか、紹介するとしよう……。
INDEX
- (第1回)【名もなきとうがらしが解説】「しあわせの激辛」ができるまで
- (第2回)【名もなきとうがらしが解説】「しあわせの激辛」ができるまで