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2023.08.31

カレーパンノヒト

-カレーパンづくりに情熱を捧げた人たち-

『カレーパンノヒ』の誕生秘話(第1回)

『カレーパンノヒ』の誕生秘話(第1回)

みなさんご存知でしたか?ハウス食品社内には“カレーパンノヒト”と呼ばれる人が複数名存在することを。そして彼らには“カレーパンノヒの生みの親”であるという共通点があるということを。今回はそんな“カレーパンノヒトたち”にお集まりいただき、カレーパンノヒに込められたホットな思いや今だから話せるちょっぴりスパイシーな裏話などを思う存分語っていただきました。(全3回)

きっかけは百貨店からの一言

どうしてハウス食品がカレーパンを?

黒田さん:
ある日、阪急百貨店さんから「オンリーワン戦略を一緒にやらないか?」というお話をいただいたのが最初のきっかけです。その時はフルーチェとか、とんがりコーンのお店も提案したのですが「ハウスといえばカレーだよね」という話になりました。それから具体的に何がいいのかという話をしていく中で「手軽に食べられるカレーパンがいいんじゃないか」という意見があり、最終的にカレーパン専門店を出店することが決まりました。

『カレーパンノヒ』の誕生秘話(第1回)

フルーチェやとんがりコーンのお店も気になりますね! 百貨店での販売が決定したカレーパンですが、どんな人たちに向けて作られた商品なのですか?

黒田さん:
やはりカレーパン好きな方や、カレーパンにうるさい人。あとはおいしいものを人に薦めたい方などが最初のターゲットでした。実際はそういった方々の他にも百貨店に出店しているという立地上、40代以上の女性が購入されることも多いです。

想像以上にスパイシーな日々

これまでにもハウス食品がカレーパン専門店を手がけたことはあったのですか?

黒田さん:
いや、これがはじめてです。なので店舗を作って従業員を雇用したり、売上を作る仕組みを自分たちで最初から構築していくのにとても苦労した記憶があります。

『カレーパンノヒ』の誕生秘話(第1回)

『カレーパンノヒ』の誕生秘話(第1回)

商品開発の面でも、数え切れないほどの苦労があったとお聞きしましたが?

黒田さん:
お客様のアンケートなどを基に開発していたんですが、その中に「カレーパンは手が汚れる」、「口がベタつくし、食べても食べても具に中々当たらない」といった不満の声がいくつかありました。なので最初はミニサイズのつまめるカレーパンを作ったんです。ですが阪急百貨店の専務さんから「そういう予想されるようなコンセプトは面白くない」と一刀両断にされました。他社の人がそんな厳しいことを言うんだっていうぐらいに(笑)そこから半年近くコンセプトをどうするか、研究所も含めて議論していき、やっぱりハウス食品のカレーの良さを詰め込んだものにしようということで、モチモチの薄皮生地で通常の倍近いカレーフィリングと具材を包んだ大きいカレーパンにしようという結論に辿り着きました。

『カレーパンノヒ』の誕生秘話(第1回)

『カレーパンノヒ』の誕生秘話(第1回)

実際にカレーパンを形にするのは研究所の方々だと思うのですが、この話を聞いた時、率直にどう思いましたか?

赤坂さん:
「こんなに大きいもの作れるのかな?」って、正直ハラハラしました(笑)実際揚げても揚げてもパンは割れるし、逆に割れないように揚げると中が温まらず、生地もねちゃついてしまうんです。あと市販のカレーパンに比べてカレーパンノヒは中身が倍近く入っているので、その量を包んで長時間揚げることに当時は相当苦労しました。

カレーフィリングに関してもかなり試行錯誤されたと伺いましたが?

野口さん:
はい。通常のカレーパンの場合、カレーフィリングの粘度を硬くするのが一般的なのですが、おうちで食べるカレーのように滑らかな舌触りを表現するために、できるだけ緩い粘度にしたいという思いはありました。あと今まではカレーフィリングをベーカリーさんに納めて個々でテストいただくことが多かったのですが、最後までこちら側で作るっていうことがほとんどなかったので、揚げるテストをした時に大半が破裂してしまった時はすごく焦りましたね。

カレーパンノヒのフィリングは、他のものと全然違うんですか?

野口さん:
似たような部分もあるかと思いますが、生地が特殊でモチっとしていて、カレーフィリングもたっぷり入れるので、重たくて沈みやすいんです。おまけに沈むとさらに膨らむので、カレーフィリングの重量で破裂しやすいという点も特徴ですね。なので中身の量のバランスを保ってやるというのも、この商品ならではの特徴だと思います。

『カレーパンノヒ』の誕生秘話(第1回)

黒田さん:
実際テストで揚げたとき、8割ぐらい破裂してましたもんね。

野口さん:
本当そのぐらいしてましたね(笑)なのでベーカリーさんに生地を改良していただいたり、こちらでもカレーフィリングをどこまで粘度を上げられるか検討したりしました。ですが最終的には赤坂さんが専用の網を開発してくれたおかげで課題突破できましたね!

専用の網? 赤坂さん、専用の網を開発されたんですか!?

赤坂さん:
はい、そうなんです。


それにより破裂しなくなったと?


赤坂さん:
はい!詳しい仕組みについては後ほどお話しさせていただきますが、それまでは9個中9個失敗したとか、上手くいって1個みたいな感じだったんです。ですがこの網のおかげで破裂するカレーパンがほとんどなくなりました。

『カレーパンノヒ』の誕生秘話(第1回)

すごいですね!ちなみにカレーパンがうまく揚がった時のこと、今でも覚えていますか?

赤坂さん:
もちろんです!めちゃめちゃ嬉しかったです!「あ、一個も割れなかった」って!「9個やっても9個できたぞ、しかも2回連続続いたぞ!」って時は本当に嬉しかったですね!

みなさんの試行錯誤の末、カレーパンノヒの原型が生まれたわけですね! あらためて試食会にのぞんだ際、ヒヤッとする出来事があったとお聞きしましたが?

黒田さん:
そうなんです。阪急百貨店の専務さんがカレーパンを口にした瞬間、中のカレーが飛び出してしまって…。「これはまずいな」と思っていたら「これぐらい中身が飛び出るカレーパンは驚きあるわ!」って専務さんが仰ってくださって(笑)それで最終的に商品化の承認をいただくことができました。

揚げ試行回数約150回、パン使用個数約3000個。その結果が実を結び、ようやく完成したカレーパンノヒ。そしてついに販売開始の日を迎えます(第2回につづきます)。

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